2017年8月
女性医師を「増やさない」というガラスの天井 ~医師・医学生の女性比率に関する分析 ①~
JAMP理事  種部恭子

 人口減少社会を迎え、日本は生き残りの戦略として女性の活躍を推進しています。どの分野においても女性の参画が増えており、医師国家試験合格者に占める女性の割合も平成に入り徐々に増加、平成12年に30%に達しました。

 この勢いなら、医師国家試験合格者に占める女性の割合は早々に40%に達し、最終的には50%になると期待していました。医学系雑誌等でも「女性医師4割時代」などと、困った問題であるかのようなバイアスのかかった記事を目にするようになりました。しかし、平成12年以降、その割合は 30%強のまま推移し、全く増えていません。

 社会全体の流れを考えれば、急速に増えてきた医師国家試験合格者に占める女性割合が30%強で止まり、15年間変化しないことは不自然です。女性医師の割合を増加させないような意図的な作用が働いている可能性があるのではないか、と疑問を持ちました。もしかしたら、大学入学時にゲートコントロールされているのではないかと考え、医学部を含む大学合格率について分析を行いました。

 文部科学省が毎年行っている学校基本調査によると、平成28年の大学入試における合格率(合格者/受験者)は、男性13.85%、女性16.39%です。
 学部別では、女性の合格率が最も高いのは歯学部(22.72%)、ついで教育学部(22.1%)、医学部と看護学部を除く医学系学部(21.47%)、看護学部(17.41%)と続きます。

 もともと「女性は文系が強く、男性は理系が強い」というイメージがありますが、ダイバーシティによるイノベーションを期待する意味で理系での女性活躍は国の男女共同参画の課題とされています。このような流れの中、男性が多いイメージが強い工学部でも、女性の合格率は男性より高くなっています。
 一方、理学部は女性の合格率が11.37%と男性(11.4%)をわずかに下回り、医学部については男性の合格率6.85%に対し、女性5.91%と他の学部に比較し極端に低いのが特徴的です。

 学部別の合格率を男女比(女性の合格率/男性の合格率)で表すと、各学部合格率の男女差は明らかです。女性の合格率が男性より高ければ1.0以上になりますが、明らかに1.0を下回る、つまり女性の合格率が顕著に低いのは、医学部だけです。
 他の学部と傾向が異なるのは、同じ理系の中でも医学部を受験する女性の能力が劣るからなのでしょうか? そうでないとすれば、いつから、なぜ、始まったことなのでしょうか?
 ガラスの天井を探る糸口があるような気がします。 ~9月トピックスに続く~