2017年9月
女性医師を「増やさない」というガラスの天井 ~医師・医学生の女性比率に関する分析 ②~
JAMP理事  種部恭子

 8月のトピックス「女性医師を「増やさない」というガラスの天井~医師・医学生の女性比率に関する分析 ①~」で述べたように、文部科学省学校基本調査によると、平成28年の大学入試における合格率(合格者/受験者)は、学部を問わず女性の方が男性より高いにもかかわらず、医学部については男性の合格率6.85%に対し、女性5.91%と極端に低いことがわかりました。入学時にゲートコントロールされている可能性が示唆されます。

 この傾向は最近に始まったことではないようで、参照可能な最も古いデータである昭和33年の調査においても、女性の合格率は男性の0.81倍と大きな差がありました。

 では、女性の医学部合格率は誰がコントロールしているのでしょう?
 まずは、設立母体による合格率の差を検討してみました。合格率が5割と高かった昭和33年においては、男女の合格率に10%の開きがありました。それと比べれば絶対値は小さいものの、平成28年の合格率は、国立・公立・私立ともに女性が男性より低い傾向にあります。

 男女比(女性の合格率/男性の合格率)で表すと、昭和33年より比率が上がっているものの、国立・公立では女性の合格率が男性より1割以上低いことがわかります。私立は男女比が1.0に近いですが、東京女子医科大学の合格者が全員女性であることを考えると、他の私立大学での男女比が薄められている可能性が残ります。つまり、設立母体を問わず、合格率に男女差があると考えたほうが妥当です。

 残る疑問は、「女性は男性より成績が悪く入試の点数で劣っているので合格率が低いのではないか」という部分です。第111回医師国家試験における女性の合格率は、男性の1.031倍でした。概ね同等かやや女性の方が高いことになります。しかし、大学入試は「数を絞るために落とす」試験で、医師国家試験はクオリティ・コントロールのために「一定レベルに達しない人を落とす」試験です。ゲートコントロールにより絞られた精鋭も、一定レベルに達した医師も国家試験には合格するため、ここから差異を推し量ることはできません。大学入試の成績、面接や小論文など明確な基準がない評価の内容、試験官の男女比など、見えない部分を明らかにしていく必要があると考えます。
 男性中心に発展してきた現在の医学・医療においては、女性の視点が欠けています。受療者の半数は女性であり、当事者性を持つ女性の医療者の育成によるダイバーシティが、医学の発展や医療安全のために必要です。能力的に劣る人を無理やり合格させるようなことはあってはならないですが、能力が等しいのであれば、女性比率50%を目指し、イノベーションと医療安全のためにダイバーシティを推進することを提言します。